2008-10-03

パラドックス定数。

という劇団の『三億円事件』を観てきました。

何を隠そう、パラドックス定数は私の一番好きな劇団です。

私が観たのは、『怪人21面相』『プライベート・ジョーク』『東京裁判』につづいて4作目。
(脚本だけ提供したプロデュース作品も一本観てるけど)

脚本がね。
本当に良いです。

程よい量と、質の美しさ。

削ぎ落としてわざと難解にした芸術ぶった台本も、過剰に説明した野暮ったい台本もキライさ。

パラドックス定数は、言葉にする部分と匂わせる部分のバランスが好みなんです。

『怪人21面相』は、公安刑事、暴力団員、新聞記者、被害会社役員を登場人物に、グリコ・森永事件の真相と犯人の正体に迫る。

『プライベート・ジョーク』は、スペインの学生寮で共に暮らすルイス・ブニュエル、ガルシア・ロルカ、サルバドール・ダリと、そこに訪れるアルバート・アインシュタイン、パブロ・ピカソという5人の天才たちの生活と戦争と葛藤を描く。

『東京裁判』は、占領軍の指示で開かれた極東国際軍事裁判で、戦争責任を問われて起訴された首相や大臣などの、いわゆるA級戦犯28名についた日本側の弁護士5人が、裁判の法的根拠の薄弱さを追及する動議を提出した法廷初日を描く。

パラドックス定数は、ほとんどの作品で実際の事件、実在の人物を題材に扱ってるんだけど、虚構と現実の境目がすごく見えづらい。
どこまでが史実で、どこからが架空なんだろう?
って考える。

『三億円事件』は、タイトルどおり、時効成立まであと3ヶ月と迫る三億円事件の特別捜査本部に取り残された、府中署の刑事4人と、警視庁の刑事4人が登場人物。

とくれば、おなじみの所轄VS本庁の構図もあるけど、それだけじゃない。

それぞれの人間同士に、所轄だとか、本庁だとかだけじゃくくれない人間関係があるわけで、その関係を丁寧に描いてく。
とゆうか、内容としてはそれのみというか。

大きな事件を扱ってるけど、事件そのものより、それをめぐる人々の生き方とか信念とかを描いてる気がする。

パラドックス定数の魅力を一言で言えば、関係性の色気、なんじゃないでしょうか。

まずね、登場人物が男しかいないんすよ。

これ、腐女子的BL萌えに片足つっこんだ発言になるかもしれないんだけど、男しかいないその世界で、対等であるはずの登場人物たちの中に、受動的な役割を与えられた男性がいるってこと。

現実には、権力のアナロジーにおいて被支配者である女性が担う、受動性を引き受けた男性がいること。

つまりは「押し付けられた」ものを「受け容れる」ってこと。

そこに女性性を感じるのではないかしら。

で、本来は、というか今までは、女性に押し付けられてきた受動性を引き受けた男性がいることで、男女間で感じる色気を、ボーイズ間で感じるってことなんじゃないかしら。

とBLを分析する私。

と同種の色気をパラドックス定数に感じるのです。

決して恋愛感情があるとか肉体関係があるわけじゃありませんよ。

だからね、男も女も、平等に欲望の対象となり、平等に消費し、消費され、平等にレイプされる危機を抱えるといいよ。
女子供だけそんな暴力に怯えなきゃいけないなんて理不尽。
おにいさんもおじさんも強姦される恐怖を体験すれば、女子供に対する性犯罪も減ると思うけど。

あれ、ものすごい脱線してますが。
芝居の感想に戻ると。

今回はたぶんわざとだと思うけど、パラドックスメンバーを本庁組に、客演陣を所轄組にぱっきり分けてキャスティングしてたので、やっぱりパラドックスメンバーの均質さが明確でしたね。

客演陣はばらばらして散漫な印象。
台本の言葉を言い慣れてないっていうのも大きいのかな。
漢字多いし、時代背景もあるし。

あと、眼鏡は好きだけど、全員が眼鏡+スーツはやりすぎな気がする。
ムリヤリ感が否めない。

にしても、パラドックス定数は注目度だだ上がりだね。
平日夜なのに満席。
なんかちょっと悔しい。
好きなだけに売れるとさ。
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